商品詳細

  • シーエムシー出版
  • ¥4,620
  • 23MB
  • 2025/09/05

月刊機能材料2025年9月号(電子版)

シーエムシー出版

雑誌・定期刊行物

コンテンツの内容

  • ePub
  • PDF
シーエムシー出版の書籍一覧を見る

【特集】 材料表面の平滑化,表面粗さの低減に向けた取り組み

★表面粗さは,物体の表面の凹凸度合いを示しており,その大きさによって部品の性能に影響を与える場合もあることから重要な指標と言えます。近年はとくに,光学,半導体,量子分野などの発展に伴い,より高精度な平滑化技術が求められております。本特集では材料表面の平滑化の実現に向けた取り組みを紹介してまいります。

<著者一覧>
日暮栄治  東北大学
竹内魁  東北大学
潟岡泉  ㈱IIPT
郭建麗  東京大学
三村秀和  東京大学
庄司卓央  スーパーレジン工業㈱
田山紘介  スーパーレジン工業㈱
畠山友孝  (国研)物質・材料研究機構
立川貴士  神戸大学

-------------------------------------------------------------------------

【特集】 材料表面の平滑化,表面粗さの低減に向けた取り組み

-------------------------------------------------------------------------

常温接合をめざした研磨を必要としない表面平滑化技術
Polishing-Free Surface Smoothing Technology for Room-Temperature Bonding

 異種材料や異種機能を集積するヘテロジニアス集積技術が,将来の継続的な半導体産業成長の鍵として期待されており,それを支える低温接合技術が注目を集めている。特に,表面活性化による常温接合などの固相接合技術には平滑な接合面が求められ,超精密研磨が不可欠であるが,これらが適用できないケースでは平滑面の形成が大きな課題となっていた。本稿では,さまざまな材料の常温接合をめざし,研磨ではなく,金(Au)薄膜の転写と直接接合を組み合わせた付加加工により接合面の平滑化を行う手法について紹介する。粗いAuめっき膜などにAu薄膜を多層転写することにより平滑面を形成し,常温接合を実現した。

【目次】
1 はじめに
2 表面活性化接合技術
3 活性な薄膜転写による平滑化技術
 3.1 テンプレート・ストリッピング技術
 3.2 テンプレート・ストリッピングと直接接合を用いた接合面平滑化技術
4 おわりに

-------------------------------------------------------------------------

ガスクラスターイオンビーム(GCIB)加工技術の動向
Recent Trends of Gas Cluster Ion Beam (GCIB) Processing Technology

 GCIB技術の現状と将来について最近の動向を踏まえて解説した。今回は主としてパワー半導体として今後が期待されている単結晶ダイヤモンド及びGaN単結晶,また既にデバイスとして使用されている各種半導体に接合し,放熱基板として熱効率の改善が期待されているCVDダイヤモンドに対するGCIB照射の効果を示した。

【目次】
1 はじめに
2 GCIB技術の特徴
 2.1 GCIB装置の概要
 2.2 GCIBに依る加工の特徴
  2.2.1 ラテラルスパッタリング効果
  2.2.2 反応性GCIBに依る角度照射効果
3 超平滑化加工技術の現状
 3.1 難加工材料に対する平滑化
 3.2 単結晶ダイヤモンド
 3.3 CVDダイヤモンド
 3.4 GaN単結晶
 3.5 精密金型に対する平滑化
 3.6 ダイヤモンドバイトに対する潜傷の除去
4 まとめ

-------------------------------------------------------------------------

有機ポリマーパッドと水によるガラスとシリコン表面の原子レベル平坦化
Atomic-Level Surface Smoothing of Glass and Silicon with an Organic Polymer Pad and Water

 ガラスやシリコンは高精度加工が求められる材料である。本稿では,有機ポリマーパッドと水のみで原子レベル平坦化を実現するWAPOP法と,XPSによる加工メカニズムの解析について報告する。

【目次】
1 はじめに
2 基礎加工実験
3 応用研究
 3.1 平坦化加工装置の開発
 3.2 PMMAパッドによるガラスとシリコン表面の原子レベル平坦化
4 PMMAツールとシリコンの相互作用のXPSによる検出
5 加工原理に関する考察
6 終わりに

-------------------------------------------------------------------------
[Material Report -R&D-]

エポキシフォームの特徴とCFRP複合化技術
Characteristics of Epoxy Foams and Hybridization Techniques with Carbon Fiber Reinforced Plastics (CFRP)

 エポキシフォームは,熱硬化性でありながら柔軟性と成形性を兼ね備えた新素材で,CFRPとの複合化により軽量・高剛性を両立した構造体を実現可能である。現在,ドローン部品や天体望遠鏡筐体などへの応用が進んでおり,今後さらなるFRPの設計自由度向上が期待される。

【目次】
1 はじめに
2 エポキシフォームの特徴
3 エポキシフォームの基礎物性
4 エポキシフォームとCFRPのサンドイッチ構造体
5 エポキシフォームの適用事例
 5.1 偏肉構造および3次元形状を有するプロペラガード
 5.2 新世代軽量パイプ「Kaleidφ(カレイド)®」と製品事例
6 まとめ

-------------------------------------------------------------------------

レーザー積層造形による耐熱鋼のクリープ寿命向上
Increase in Creep Life of Heat-Resistant Steel Using Laser Additive Manufacturing

 レーザー粉末床溶融結合法によりフェライト耐熱鋼(改良9Cr-1Mo鋼)を作製した。マルテンサイト単相の通常製法材とは異なり,δフェライトとマルテンサイトの二相組織を有していた。クリープ試験を最長で10000時間実施した結果,レーザー積層造形材は,通常製法材と比較して10倍以上のクリープ寿命を有することが分かった。

【目次】
1 背景
2 実験方法
3 レーザー粉末床溶融結合法により形成するミクロ組織
4 レーザー粉末床溶融結合法材のクリープ特性
5 まとめ

-------------------------------------------------------------------------

自己修復するペロブスカイト光触媒:動的平衡に基づく反応制御
Self-Healing Perovskite Photocatalysts: Reaction Control Based on Dynamic Equilibrium

 本研究では,次世代太陽電池材料として注目される有機無機ペロブスカイトをモデル系として,固液界面における動的平衡を活用することで,結晶の損傷部位が自発的に修復される自己修復型光触媒を実証した。さらに,光照射時に加え,照射を停止した後の暗所においても,修復過程を介した水素生成が可能であることを明らかにした。

【目次】
1 はじめに
2 結晶破壊と自己修復挙動
3 光触媒作用
4 おわりに

-------------------------------------------------------------------------
[Market Data]

触媒工業の市場動向

 2023年の国内の触媒工業市場はコロナ禍の2020年から回復基調はあるものの,工業用の生産量は前年比90.8%,環境保全用も同82.2%と減少した。触媒全体の生産量は8万7,089トン,出荷量は8万5,454トンと2022年を下回った。特に出荷金額は大きく減少し,6,415億7,700万円であった。工業用触媒の最大用途である石油精製用触媒の生産量は前年比3.3%増の4万799トンと増加したが,低燃費車や電気自動車の普及,自動運転技術の開発などにより,国内需要は今後,漸減傾向が続くと予想される。一方,中国やインドをはじめアジア圏の新興国における石化産業の発展と,自動車保有台数の増加は今後も続き,グローバル需要は堅調に推移すると予想される。それに伴い,環境保全用触媒の主力である自動車排気ガス浄化用触媒は,排ガス規制の世界的な厳格化を受けて需要の増加が見込まれるが,国内では自動車生産台数が減少しているため,触媒の生産量・出荷量ともに減少傾向にある。

【目次】
1 業界概要
2 市場動向
3 輸出入動向
4 需要
5 企業・技術動向

-------------------------------------------------------------------------

石油製品添加剤工業の市場動向

 石油製品添加剤の需要は,その用途先となる燃料油や潤滑油などの需要に大きく左右される。2008年秋からの世界同時不況の影響で自動車,機械,電気機器などが大幅減産となり,その影響で石油製品,石油製品添加剤需要も落ち込みが続いた。2010年に回復の兆しが見られたものの,東日本大震災や景気低迷,エネルギー政策の迷走等により,先行きは不透明なものとなり,それ以降も需要は長く横ばいもしくは微増状態が続いている。2023年は燃料油の生産量に久しぶりに上昇傾向がみられた。

【目次】
1 概要
2 需給動向
3 添加剤メーカーの動向

-------------------------------------------------------------------------
[Material Profile]

ジボラン
Diborane

窒化ガリウム
Gallium nitride

-------------------------------------------------------------------------
[連載企画]

大阪・関西万博大阪ヘルスケアパビリオンリボーンチャレンジ
MOBIO(ものづくりビジネスセンター大阪)の取り組み【第5回】